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雑貨屋の婆さんは、別に、道徳的に悪いことは何もしていない。
しかし、そのスペースを使って、もっと儲かる商売が可能であれば、その差の分だけ、社会全体に損害をもたらしていることになる。
そういうふうに生まれる損害は、悪徳な商法によってもたらされる損害より、はるかに大きいのではないか。
日本の都市部では、この雑貨屋のように「儲からない使い方」をされている土地の面積が非常に大きい。
土地の使われ方の効率が悪い。
東京の山手線内の建物の平均階数は、3階以下である。
ニューヨークやパリでは決して見られない平屋の一軒家が東京にはたくさんある。
東京の住宅狭いのは、土地が足らないからではない。
土地の面積に比べて住宅として提供される面積が日本は、自由な経済活動を制限するさまざまな規制があるのに、土地の使い方に関してだけは、異常なほどに個人の自由が認められている。
本来、土地の使い方こそ、規制されなければならない。
あるいは、資産課税によって有効利用を促進しなければならない。
土地の使い方には、競争原理が働かないからである。
普通は、効率の悪い経営をしている企業は、競争に負けて淘汰きれる。
しか-し、「ある土地をどう使うか」に関しては、持ち主の自由である。
どんな効率の悪い使い方をしていても、競争に負けて追い出されることはない。
日本の住宅の質が悪いもうひとつの原因は、公共事業が多いからである。
モノやサービスの価格は、需要と供給で決まる。
公共事業は、建設サービスに対する需要である。
公共事業が減れば、建設サービスに対する需要が減る。
つまり、住宅の建設コストが下がるのである。
日本の住宅の質は先進国の中で最低である。
その責任は政府の政策にある。
政府が効率の悪い土地の使い方を容認し、かつ、公共事業で建築サービスに対する需要を増やしているから、日本の住宅は狭くて高いのだ。
自由な競争さえ行われていれば、企業が「儲け過ぎる」ということはありえない。
企業の利益は、モノやサービスの原価と価格の差、企業が生み出した付加価値である。
一見、高過ぎる価格であっても、その金額を支払った人は、それだけの効用を得ている。
他の使い道より価値があると思うからこそ、その金額を支払ったのである。
道路も橋も、そこを通る人に効用を与えている。
喫茶店が、そこでコーヒーを飲む人に効用を与えているのと同じである。
しかし、喫茶店の客は「1杯のコーヒーは500円」というように効用をはっきり認識しているのに対して、道路や橋を通る人は効用をはっきり認識していない。
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